第74回文月会

2024年7月13日、東京はまだ梅雨明けず、どんよりとした曇り空であるものの、日中は30度を超える蒸し暑さの中、第74回文月会が東京医科歯科大学共用講義室1で開催されました。総会では、新井文子会長より、会長及び当番世話人の挨拶がありました。続いて、本部より来賓である、学士会副会長の土田正則先生(D60)のご挨拶をいただきました。まず、学士会幹部の改選についての報告が行われ、藤井幸彦会長(D58)の再任、成田一衛副会長(D58)(学内)、関博之副会長(D54)(学外;埼玉医科大学総合医療センター、客員教授)、吉井光信副会長(D47)(文月会元会長)の選出が報告されました。 さらに、現在の大学病院の現状や、地域医療における新潟県内の医師不足に対する取り組みなどを報告されました。その後、各担当幹事より報告があり、予算、決算案の承認がおこなわれました。昨今、製薬メーカーからの協賛を得ることが難しい現状を踏まえ、今後、会員からの会費徴収を確実にするための方策として、従来の郵送での振り込み方式のみならず、クレジットカード、PayPayでの支払いも可能にするのはどうか、といった意見も出されました。審議事項として、副会長の加藤博之先生の定年に伴う、任期延長について審議され、全員一致で承認されました。また、ここ数年、継続的に議論されてきた、若手会員の参加を増やす方策についても話し合われましたが、決定的なアイデアはなく、引き続きの検討事項となりました。また、来る令和6年10月20日(土)に京王プラザホテルで開催予定である有壬会関東甲信静合同総会の当番幹事である菊池利夫先生(D49)より、会の準備状況の報告と、文月会会員への参加依頼がなされました。続いて特別講演に移り、聖マリアンナ医科だ学形成外科教授の梶川明義先生(D59)より「患者のQOL改善のための私の形成外科手術手技開発~より安全に&より美しく~」との演題でご講演いただきました。ご自身で新たに開発された12の分野における術式・手技について詳しくご解説いただきました。以下がその術式となります。①単一皮弁による毛流の正しい両側眉毛同時再建法、②拡大上顎全摘術後の整容的な眼窩、眼瞼の再建法、③埋没耳に対する新しい皮弁デザインと軟骨形成法、④カニ爪型動脈皮弁による鼻柱、鼻前皺、上口唇の三次元的再建法、⑤巨口症に対する新しい理論による自然な口角形成法、⑥瘢痕が目立たない前腕皮弁採取法(STSF法)、⑦植皮瘢痕を目立たなくするタイ・オーバー縫合固定法、⑧合趾症に対する瘢痕の目立たない趾間形成法、⑨臍ヘルニア、臍欠損に対する自然な臍形成法、⑩乳房全摘後の安全で美しい乳房再建法、⑪間欠式持続吸引洗浄による感染エクスパンダー救済法、⑫素早く確実な走査線状表皮採取法。新規術式の開発には、まず既存の術式を正しく理解し、満足な結果が得られているかどうかを吟味、そのうえで、新たな術式を考えるといったプロセスを経て開発されるとのことでした。術式に対する新しいアイデアは術中でも、診察室でも、自宅でも思いつくとのことですが、自分のアイデアを批判的に吟味し、シミュレーションを繰り返すことが重要であると述べられました。そして、開発した新規術式が既存のものより優れていると確信したのであれば、継続してその術式を採用し、世に広めることが、重要であるとのことでした。梶川先生の豊富な手術経験が垣間見れる数多くの手術写真を供覧していただいたため、盛りだくさんの内容であったのにも関わらず、1時間の講演はあっという間に過ぎてしまいました。特に外科系の参加者からは術式の工夫に関して活発な質問がなされました。その後、会場を銀座アスター御茶ノ水賓館移して、懇親会が行われました。参加者は16名とやや寂しい会となりましたが、会場の21階からの眺めは雲間から顔を出した夕日が東京の街並みを照らし出し壮観でありました。新井文子会長の開会の挨拶の後、土田先生、吉井先生より近況報告をいただき、元会長の高木敏之先生(D42)の乾杯の発声により宴は開始となりました。会員は中華料理に舌鼓を打ちつつも話が盛り上がり、あっという間にお開きの時間となりました。最後に、小柳仁先生(D37)の閉会の辞で会はお開きとなり、会員は帰途につきました。

特別講演の様子

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